”武装解除のプロ”伊勢崎賢治が語る
日本人と戦争のこれから
2015年9月6日14:00-16:00
兵庫県保険医協会5階会議室
東京外国語大学教授  伊勢崎賢治氏

SEALDs=シールズ←特定秘密保護法に反対する学生たち(SASPL=サスプル)が活発に活動している。

(SEALDs Students Emergency Action for Liberal Democracy―sの略。「一人ひとりの行動こそが、日本の自由と民主主義を守る盾となる」という思いで、英語で複数の盾を意味するSEALDsと名づけられた。)

明治学院大学、高橋源一郎氏のゼミの学生からはじまったものである。運動は必ず減衰するが、SEALDsの若者は持続する戦略を立てている。

どうか年寄りは口を出して邪魔をしないで。『学者の会』はもってのほかである。

自分は目黒の自衛隊幹部学校で「戦略論」の教鞭をとっている。日本の自衛隊には実は戦略がなく戦術しかない。戦略はアメリカが立てるものだからだ。

運動のエネルギーに熱狂は必要である。だが、熱狂は恐ろしいものだ。社会変革のために必要だが、争いも引き起こす。また、排他思想もよろしくない。 『安部は人間じゃない』と『韓国人は人間じゃない』は同列である。

今さらのように立ち上げた『学者の会』には余計なことをしてほしくない。自分は1年以上前に小林節氏、長谷部氏とともに『国民法制懇』を立ち上げている。

安保関連法案はおそらく通過するだろうが、まだ方法はあるのであきらめないで。通っても使わせないことはできる。それには民主党を中心に野党が選挙協力して結集する必要がある。まずは、民主党が懺悔する必要がある。最大の過ちを犯してしまったのは民主党が政権を取った時のことである。

集団的自衛権は悪か?

日本の外は国際法の世界である。自衛隊が送られるのは国際法の世界である。

自衛の三原則

  1. 急迫不正の侵害があること
  2. 他にこれを排除して、国を防衛する手段がないこと
  3. 必要な限度にとどめること

国の自衛も警察官の自衛も一緒である。

アメリカでも日本でも自衛の原則は同じだが運用が異なる。

国連=United Nations 第2次世界大戦の戦勝国の連合

国連憲章51条 自衛権

国連が措置を取るまでの権利

火事のたとえ(個別的自衛権、集団的自衛権)

日米安保は国連憲章の下位にある

①個別的自衛権、集団的自衛権⇒暫定的な固有の権利

②集団安全保障(国連的措置)⇒条約的義務

集団防衛 collective defenseは軍事同盟である

集団的自衛権(collective self-defense) は英語は似ているように見えるが 集団防衛(collective defense)とは別物

この権利と義務がごっちゃになって議論されていることが多い。

侵略はすでにパリ不戦条約で違法化されているので、現在の戦争は個別的自衛権、集団的自衛権、集団安全保障(国連的措置)に基づいて起こっている。

あきらかに違法で侵略とみなされたのはイラクのクェート侵攻ぐらいである。

国連憲章8章

53条に地域的取極、機関のことが書いてある。ミニ国連のようなものを想定している。

国連憲章には敵国条項が残っており、日本は該当する。日本はまだ保護観察処分の身分である。

シームレスな対応というが、非常に危険。現場の自衛官が一番よくわかっている

実は日本は既に集団的自衛権を無自覚に行使してしまっている

①テロ措置法(アフガニスタン) 小泉政権下

NATO、アメリカとともに。インド洋のテロ阻止(給油活動)

②イラク措置法(大量破壊兵器)

NATOはついて行かず。戦争と意識せずに戦争してしまった。

③ソマリア海賊退治 2009年

邦人保護のために武力を行使(地位協定がなければやってはいけない)

民主党は廃案にせず。

ジブチに軍事基地まである(民主党政権下、地位協定まである。基地内外の区別なし。日本は日米地位協定に文句を言えない)

「平和安全法」(“戦争”法案)

11の法律⇒自衛隊の使い方

国連平和活動型(PKO)   陸上自衛隊

非国連統括型(有志連合型)

周辺事態(対中国)    海、空の自衛隊⇒高い買い物(利益を得る共同体がある

陸には一番無理がかかる

9条は変わってないが相場の変動がある。今は自衛隊を違憲という人は少ないが30年前は違う。

PKOは自衛隊の相場を変動するために使われてきた

集団的自衛権は越えてはいけない一線

国連憲章第6章 活動

まずは紛争中の国に外から声をかける

第7章非軍事的措置(経済制裁など)

軍事的措置

6章半活動⇒停戦の監視、(シエラレオネ内戦の9年目に行われた)

1994年ルワンダ

停戦監視に入ったら殺し合いが始まった 政権側フツ族がツチ族を民族浄化した。100万人/100日が殺された

国連は介入すれば政権側と戦うことになるので逃げた。

この一件が「国連のトラウマ」となる

保護する責任 R2P( Responsibility to protect)という考え方がでてきた。

人権侵害、人間の安全保障という考え方から出ている

主権は独裁者の特権ではない。

内政不干渉の原則とバッティングする。

大国の悪用(レジームチェンジに使われる)の懸念

2011年、リビアでR2Pが実行される。

アラブの春。カダフィの弾圧

住民を助けるために空爆しカダフィ打倒。レジームチェンジに成功

その後内戦状態となる

「人権」がすべての政治活動に使われるようになった

国連のPKOミッションにはマンデート(任務と権限)が付与されるが、停戦監視から住民の保護になってきている。

今は停戦が破られても帰ることができない。南スーダンでは少なくとも2回破られている。

南スーダン (南にコンゴ民主共和国、国境あってないようなもの)

コルタン(携帯などに使われるレアメタル)は中国経由で日本にはいってくるがコンゴ民主共和国でしかとれない。⇒決して日本とは無縁でない。

南スーダンでのPKO活動(TV取材に伊勢崎氏同行)

①パトロール業務

完全武装。子供が周りにいる民衆の中に敵が潜んでいる。どこから撃ってくるかからない。

慣れない兵士は1くれば10撃ち返してしまう。

②国連軍事監視団(ミリタリーオブザーバー)

昔からある業務。PKOミッションには必ず含まれる。

非武装で、将官クラスの軍人

1人=150人(1個中隊)以上の効果がある。

先進国は主にこれを出しており、部隊は発展途上国が外貨稼ぎに出すことが多い。

アメリカにはできない。日本ならできる。

個別的自衛権 権利

集団的自衛権 権利

国連的措置(集団安全保障)  PKO これは条約上の義務であり、どう出すのかが問題。コルタンなどのレアメタルを無批判に使いまくっているのは日本だけ。決して関係ないとは言えない。

“紛争の当事者性”

武力の行使

日本的な言い方では『自衛隊は「武力の行使」はできないが「武器の使用」はできる』

日本には言い繕うための海外にはない造語がたくさんある

“後方支援” 英語ではlogistics、兵站のこと。実際には戦争に前方も後方もない。

“国準” 反政府テロなどの武装組織。国準なら殺してよいことになっている。人権的に問題のある言い方である。

“一体化” 自衛隊は一体化しないと言うがそれならゲリラ組織ですか?

実際には多国籍軍に属しゲリラ部隊ではないなら一体化していることになる。

PKOに参加するなら、①軍規、②統合指揮(特権担保)、③戦時国際法/国際人道法(戦争を人道的に行うルール)の3要素が必要

①②必ず過失は起こるので軍規は必要。このために地位協定が結ばれる。

③国際法的には自衛隊は交戦主体になる。でなければゲリラ部隊ということになる。これは憲法違反である。

結論

「自衛隊の根本的な法的地位を

国民に問うことなしに

自衛隊を海外に送ってはならない」

軍規がないなら刑法でしか裁けない。個人の責任でないものを殺人犯とせざるを得ない。

送るなら「軍」として送るべし

撃ったら殺人になる可能性が高いので自衛隊員は発砲しにくい⇒死ぬ確率高くなる

ますます業務を広げる安部政権は自衛官が殉死する事件を待っているのではないか。

事件が起これば9条の責任にして一気に改憲を狙っているのでは? 熱狂の中での改憲は好ましくない。

民主党は南スーダンに自衛隊を派遣すべきでなかった。懺悔すべきであろう。

Q&A

自分や元自衛隊の人などでも意見は異なるがそれは現場を知っている人の意見の差であり実際には非常に近い。

他の現場を知らない賛成・反対派のように両極端に別れてはいない

NGOががんばっても国際政治は変わらない。

今の1000倍以上のNGOを作らないとだめだろう

日本には寄付文化がなく結局政府から資金をもらって行っている。そんなのはNGOではない。

中村さんの組織の偉いところは公的資金をまったくもらってないところ。

あなた方の箪笥に眠っているダイヤモンドにキンバリー証書がなければそれは元々密輸品です。ぜひそういうものを私のNGOに寄付してください。

中国が戦争を仕掛けてくることを心配する人が多いがよく考えてください。中国はUnitedNationsの5大国(戦勝国)のひとつなのですよ。日本はいまだ敵国条項に該当する保護観察国なのです。